Works
施工事例

302 Royal Court SAGA “DIALOGUE”

301 Royal Court SAGA "DIALOGUE"

私の中では、今回の企画におけるクリエイターの方でこの人は欠かせない!と思っていたのが「小説家」、つまり”言葉を扱うプロ”の方でした。
もともと私が本と言葉を大切にしていることや、関東から京都へ移住した際に、京都を学ぶ教材として森見登美彦さんや万城目学さんの小説を参考にしていたことから、「京都×家×クリエイティブ=言葉の必要性」という一種の方程式ができあがっていたのかもしれません。

 

そして、土門蘭さんとの出会いがありました。
突然メールで送りつけた企画書。始まりは唐突でたまたまだったものの、今思い返してみると、運命的な巡り合わせだったように思います。
初めてお会いした時、会話の内容の言語化・抽象化のスピードがとんでもなく速く、そして何よりメモを取られている文字がとてもキレイで美しくて、私にはそれが特別に見えるほどでした。

 

そんな土門さんですが、
「私は、建築の”け”の字も分からないかもですが…。」
専門分野から外れすぎて、そりゃそうですよね(笑)。
そんな土門さんをサポートしつつ、住みたいと思える理想の部屋を一緒に探る中で生まれたものが「文章を書くための部屋」でした。
そこから先は、「文章を書く」という行為の為に必要な”空間”や”モノ”ということを週1回、約1時間程度の打ち合わせで対話をしながら、コンセプトを固めていきました。
これについては、土門さんご本人が本当に素晴らしい文章・言葉で書き綴られていますので、ぜひ下記のサイトをご覧ください。

https://www.ccr702.com/royal-court-saga

 

徐々に固まっていく想いを見ていると、ある時気が付きます。
「あれ?…ほとんど図面になってるじゃん。」

 

この時点ではまだ1本の線も引いておらず、あるのは言葉のみ。
それなのに間取りの形、間仕切りの素材感など、そのほぼ全てがs言語化されていて、図面は言葉をなぞるように線を引いていくだけ。
通常普段は、図面があり、そこに意味を後付けしていくことがどうしても多くほとんどである中、今回は真逆。
何とも不思議な体験で、土門さんという方の凄さの片鱗を見ることができました。
このように「言葉」というソフトウェアがバッチリある中で、ハードに当たる建築部分をいかに魅力的な形で作り上げられるか、という普段とはまた一味違った緊張感を持ちながら工事を進めました。

 

このお部屋の中で最も重要なポイントが、”寝室の間仕切り”となる部分でした。
求めらられるのは下記のこと。
・完全に仕切りたいけど、壁や扉では圧迫感が強すぎて、重すぎること。
・一人で自分を見つめたい空間ではあるけど、”一人ぼっち”にはなりたくないこと。
・生活シーンに応じて、自分の意志で開閉が調整できること。

これらを踏まえて、素材はカーテンを選択し、その製作をファブリックデザインの「jyu+」さんに相談して製作を進めました。

 

2列のカーテン寝室側は、水の深さによって色の濃淡が変わる「湖」のようにグラデーションで色の変化のあるカーテン。
廊下側は、「森」をイメージした和紙素材で作られたカーテンに自然の不均一性を表現するように、染料をまるで種をまくように染めているカーテン。
そして、この2列のカーテンの間に設けた30cmの中間空間が2つのカーテンに包まれる心身ともに落ち着いて心地良い空間となるように作り上げました。

 

こうして作り上げた空間が結局のところ土門さんらしさのある本当に魅力的な空間となり、
最後に完成したお部屋を見られた時に本当に嬉しそうなお顔で「素敵なお部屋ができましたね。」とお話しされる土門さんが本当に素敵でした。

 

この度は、貴重な機会と素敵な空間を作り上げていただき本当にありがとうございました。

 

 


Design:土門蘭 作家/文筆家
企画:株式会社CONTEMPORARY COCOON ROOM702
施工:株式会社Puddle&Flag
大工:堀内工務店/堀内聖弥
ファブリック:jyu+
設計:株式会社M.A.E 森田雄一朗
撮影:倉本あかり


 

物件名 301 Royal Court SAGA "DIALOGUE"
工事現場 京都市右京区
内容 RC造マンションの室内リノベーション工事
竣工時期 2024年12月〜2025年9月