築年数不詳。

延べ床面積は、約55坪。間口が20mに渡る建物の改装工事を担当させて頂きました。

どうしても工事金額が大きくなってしまう、何しろ大きな建物ですが、大きさ全てを使い切れそうでもない。その中で手を入れる箇所と入れない箇所を分けていくこと、そしておそらく100年ほどかけて膨張や乾燥・収縮を繰り返して密度高く残っている柱や梁など、元々の建物が持っている魅力的な「古さ」を生かしていくことをデザインコンセプトにしています。

柱の足元が弱っていたり、元々の梁の太さが足りていない部分は新規木材へ入替えもしくは、足元部分のみ根継ぎして入替えることでなるべく古さを生かせるような補強を行いました。

もう一つの大きな特徴でもある20m間口ですが、室内では、床一体をコンクリートで打ちこんでいますが、床の高さを１５０mm程度変えることで空間の区切りとして、グラデーションのような空間の切り替えをしています。
元々母屋と離れが別々の建物だったものをどこかの時代で一つにくっつけられている本建物では、一つになった時に中庭というスペースが生まれており、この空間が何より良いんです。
完全にプライベートな空間で、そして空が気持ちよく眺められる。
この中庭に向けて設けている大きな窓を思いっきり開け放てることが本当に気持ち良い空間になりました。

外部では、胴縁と呼ばれる下地材を黒く染め、約800本を外壁に敷き詰めて貼っており、銅板貼りの玄関建具を取り付けることで和風の装いは崩さずに残しながらも今の時代にアップデートした見え方になっているのではないかと思います。

考えることが多く、一つ一つとても悩ましく大変であったと思いますが、本当に素敵な空間が出来上がったのではないかと思います。
この度は、本当にありがとうございました。

企画：株式会社CONTEMPORARY COCOON ROOM702

設計/デザイン：yasuhiro sawa design office.

施工：株式会社Puddle&Flag

撮影：倉本あかり