お地蔵様の地蔵祠を製作させていただきました。

老朽化していた元々の祠からお地蔵様の魂抜きを行い取り壊し後に基礎から新しく製作しています。

基礎は、版築の下部基礎と左官洗い出しにしている上部基礎の2段構え。
下部の基礎にデザインとして採用している版築は、本来は土のみで構成するものですが、今回は構造強度的に土のみでは難しくモルタルに色粉を混ぜて使用しています。ですので、正確には版築風ですが、型枠を作り、1段層ずつ少しずつ色粉と砂の配分を増やしたり、減らしたりすることで色のバラつき、質感の差をあえて作りながら、よく詰め込む層と詰め込みきらずにあえて隙間が生まれるような層を1層ずつ調整することで土壁っぽさを再現しました。

毎日、老若男女さまざまな方が訪れ、通行する場所ですので、しっかりと構造強度を取りながらも版築のデザインを落とさずに組み上げている部分が自画自賛ポイントです。笑

祠の柱・梁・床板・壁板・野地板に至るまで木部は全て檜材で製作しており、屋根は銅板を葺いています。
青く錆びていく姿が魅力の銅板ですが、近年では、酸性雨の影響で銅板が青く染まりにくいこともあります。ですが、個人的にはくすむように錆びていく銅板もとても好きで、経年でしか出せない味わいはとても素敵です。
日光、雨や風、雪にさらされながら経年的に少しずつ、少しずつ表情を変えていく木部や銅板のうつりかわりがとても楽しみです。

企画：株式会社CONTEMPORARY COCOON ROOM702

設計：赤熊宏紀建築設計事務所

施工：株式会社Puddle&Flag

木工：STUDIO-A

左官：中村左官/小林克也

屋根/銅板葺き：建築板金敏智

撮影：倉本あかり